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読んだ本の記録、感想、時々妄想
実は本なんか読まなくても全然平気で生きていけます
ブラック・ベルベット
神原恵弥シリーズ第三作。
噂だけが一人歩きする都市伝説のような薬「D・F」、入国後に消息を絶った気鋭の女性科学者、かつての恋人、全身を黒い苔に覆われた死体…様々な思惑の中で、神原恵弥が今回旅するのは、東西文化の交差点・トルコ共和国。

久々に手に取った恩田作品。
神原恵弥シリーズの新作と聞いたら読むしかない!
しかも、『MAZE』の時枝満が再登場とか、『クレオパトラの夢』で名前だけは出てきた恵弥の元彼「橘君」が登場とか、これはファンとしてはテンション上がるわ〜。

恩田作品って「あれだけ盛り上げておいてこのオチ!?」ってなることもままあって、でも、文章がするする頭に入ってくる感じとか、そこから喚起される空気や情景や郷愁とか、とにかく読んでいるときの心地良さは別格で、その心地良さはそれはそれで稀有なものなので(たぶんスキルとかテクニックとかそういうレベルのものじゃなくて、ある種の才能とあとは相性だと思うし)、やっぱり好きだなあとしか言えない…。
本作も、東洋と西洋の出会う都市とか、夜行列車とか、ぽんぽん交わされる多様な雑談とか、まさに恩田陸の本領発揮という感じであった…足りない要素といえば、酒とおしゃべりが好きな女性かな(笑)。
まあ、オチがアレなところも本領発揮されちゃってるんですけども…読んでるあいだは楽しかったから良しってことで。
本:恩田陸 | - | tsukigasem
不安な童話
彼女は波間に浮かぶ黄色いバラの花を見ただろうか。「嫉妬」という花言葉を持つこの花を、自分を焼き尽くしたその言葉を。


二十五年前に変死した天才画家・高槻倫子の遺作展で、強烈なデジャ・ヴに襲われた古橋万由子。
倫子の遺子から「あなたは母の生まれ変わりではないか」と告げられたことをきっかけに、万由子は奇妙な事件に巻き込まれていく…。

再読。3回目かな?
10月からこっち、『スクールボーイ閣下』(ジョン ル・カレ)をちまちまと読み進めているんだけど、慣れない翻訳文に四苦八苦しているうちに「あー…なんかスラスラ読める小説が読みたい…」と思って本棚から引っ張り出してきたのがこれ。

恩田陸の作品はジャンル分けが困難な作風で、ミステリー仕立ての導入だからといってミステリーだと思って読み進めると期待していたような結果はまず得られないのだが、この初期の作品はかなりミステリー寄せと言えるだろう。
主人公の不思議な能力や輪廻転生の話を絡めながら、二十五年前の天才画家変死の真相にきちんとたどり着く。
恩田作品は、どちらかというとスピリチュアル寄せよりミステリー寄せの方が好みなので、この作品も昔からけっこうお気に入り。

再読していて改めて感じたのは、恩田陸は何気ない、それでいて印象的な情景を描くのがやはり上手いよなあということ。単に自分と作家の波長が合っているだけかもしれないけど。
この作品でいうと、女子校を訪ねた主人公が「懐かしい、放課後の空気。この中では永遠にこういう時間と空気が流れ続けるのだ。」と感慨にふけるシーンとか、万佐子が子供心に母の嫉妬と絶望を敏感に感じ取って「あの女の人のせいだ」と思うシーンとか、その場の黄昏色の空気を自分が経験したことみたいに頭の片隅で覚えていて、再読するたびに「ああ、こんなことあったあった」と感じてしまう。
作品紹介によれば著者は「読み終えると、ずっと昔からその話を知っていた気がするような小説」を書きたいと語っていたそうなので、まさにその目論見は成功していると言えるのではないだろうか。



それにしても、脇役の今泉俊太郎は主人公の幼馴染、イケメン、頭が良くてちょっと変わり者と、けっこうおいしいキャラクターな気がするのに、後半のこの空気っぷり…!もったいない…!むしろここまで空気だとストーリーの進行上は居ても居なくてもそんなに差し支えなかったような気が(ry
本:恩田陸 | - | tsukigasem
クレオパトラの夢

函館旅行に行く前に、何か函館がらみの小説でも再読しようかなと思い立って引っ張り出した本。
『NAZE』に続く神原恵弥シリーズ第二弾。
舞台は冬の函館(作中ではH市とされているけども)。不倫相手を追いかけていった双子の妹を連れ戻す、という目的で北の地を訪れた恵弥のもう一つの目的は、「クレオパトラ」と呼ばれるあるものの正体を掴むこと。改めて読み返してみると、函館の主だった観光地はほぼ訪れており、なんだかんだいって観光気分を満喫してるよね恵弥(笑)。
『MAZE』では恵弥が友人の満を振り回す立場だったけど、こちらは双子の妹をはじめ「クレオパトラ」をめぐる人たちに恵弥の方が振り回されるお話。



こないだの原子力研究所の事故だって、みんな臨界なんて言葉も知らなかったし、あれがなければまだバケツでウランを混ぜ続けていたわけでしょう?たまたまバレちゃったけど、もしかしたらあと十年、同じ方法でやっていたかもしれない。それまでは、誰もそんなことなんか気にしないで暮らしていく。きっと、世の中にはそれと似たような状況のものがいっぱいあって、単に信じられないほどの幸運が、これまでなんとか続いてきてるだけなんじゃないかな。世界中で毎日誰かが綱渡りをしてるのよ。
本書の発刊のタイミングからして、おそらくこれは東海村JCO臨界事故のこと。
本筋には直接関係ない単なる例え話なんだけど、東日本大震災・福島原発事故を経た今読むとまた違った感慨が…。自分たちの日常が「信じられないほどの幸運」の上に成り立っていることに気づかない、私たちって本当に同じことを繰り返してるんだなあ…。



ところで、ずいぶん以前に雑誌のインタビュー記事かなにかで「神原恵弥シリーズは三部作」と読んだような気がしたのですが、三作目はまだですか…!(いや、水野理瀬シリーズの方だったのかな…記憶が曖昧)
本:恩田陸 | - | tsukigasem
木洩れ日に泳ぐ魚

僕たちは笑う。
カメラに向かって。将来この写真を見る自分たちに向かって。決して自分の過去が悪いものではなかったと自分に言い聞かせるために。カメラに向かって笑う僕たちは、未来の僕たちと常に共犯関係にある。

別離を決意した一組の男女。
最後の一晩をアパートの一室で語り明かすことにするが、それはある男の死の真相をめぐる肚の探り合いで…。
というわけで、酒を片手に語らいつつ肚の探り合い、って恩田さん得意のパターンだけど、今回は会話よりむしろ回想シーンの比重が多めだったかな?

今さらながらに、恩田陸って近親相姦的な関係が好きなのかな、と気づいたり。
それがメインテーマになることは無いから今までぜんぜん意識したこと無かったけど、思い返してみれば、『麦の海に沈む果実』、『黄昏の百合の骨』、『まひるの月を追いかけて』、『夏の名残の薔薇』…あと『黒と茶の幻想』の彰彦も姉が弟にすごく執着持ってたし、『ネクロポリス』のラインマンもシスコンだったよーな…。(記憶違い・勘違いあったらすみません)

本:恩田陸 | - | tsukigasem
朝日のようにさわやかに
朝日のようにさわやかに (新潮文庫)
朝日のようにさわやかに (新潮文庫)
恩田陸
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麦の海に沈む果実

旅行で釧路湿原に行くにあたって再読。
聖地巡礼ですが何か!(キリッ

本:恩田陸 | - | tsukigasem
私の家では何も起こらない
私の家では何も起こらない (幽BOOKS)
私の家では何も起こらない (幽BOOKS)
恩田陸

恩田陸は最近作風が自分の好みからは離れつつあったので、新刊が出ても買ったり買わなかったりだったのだけど、これは装丁とタイトルが気に入ってしばらくぶりに単行本で買ってみた。そしたら久しぶりに自分好みの恩田テイスト!

舞台は丘の上に建つ古い家。
アップルパイが焼けるキッチンで殺しあった姉妹、近所から攫ってきた子を解体して主人に食べさせていた料理女、床下の動かない少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年、…なにかといわくのある幽霊屋敷にまつわる連作短編集。

屋敷…というか丘そのものがさまざまなモノを引き寄せ、人間たちはそれを畏怖したり、惹きつけられたり、なつかしさを感じたり、そういう土地の持つ力というテーマが恩田陸らしいなぁと。
何も起こらない、どころか当然いろいろ起こりまくりの幽霊屋敷。あらすじだけ読むとグロテスクな展開になりそうな字面が踊っているけど、語りは淡々として現実感は薄く、ふわふわとした少し昏い夢を見ているような雰囲気。
書き下ろしの「附記・われらの時代」は賛否あるようだけど(私はなんとなく『三月は深き紅の淵を』の第四章を思い出した)、デジャビュや幽霊にまつわる考察は、"ノスタルジーの魔術師"といわれた著者らしくて興味深く読んだ。

毎晩寝る前に一編ずつ読みたいような、静かで美しくて上品なゴーストストーリー。
本:恩田陸 | - | tsukigasem
puzzle
puzzle (祥伝社文庫)
puzzle (祥伝社文庫)
恩田陸

再読。
今朝、「今日から軍艦島(端島)が35年ぶりに一般公開される」というニュースを聞いて、というかそのニュースで流れた軍艦島の映像を見て、真っ先に思い出したのがこの小説。150ページとコンパクトな中編なので通勤中にさっそく再読。

無人島に忽然と現れた三つの遺体。餓死、感電死、全身打撲死と死因はばらばら、島の別々の場所で発見されたが、死亡時刻は限りなく近い。事故なのか、殺人なのか、この島で一体何が起きたのか?
…というストーリーで、名前こそ変えているものの、舞台は明らかに軍艦島。
切り立った岩壁、風雨にさらされて崩れかけたコンクリートの廃墟、それらを這うようにしげった緑…どこか遺跡めいていて(ある意味遺跡そのものだけど)廃墟マニアでなくとも心惹かれる情景。
そこで世にも不思議な"絵"が完成したとしたら、…自分の立場を危うくしたとしても、その絵を共有してもらいたいと、せめてそのピースだけでも誰かに見てもらいたいと、思ってしまうのが人間というものなのかもしれない。

最近では、ミステリ風とみせかけてラストでスピリチュアルな方向に行ったり、謎解き投げっぱなしだったりでガクッとなることの多い恩田作品。アクロバティックなオチではあるものの、この頃はまだミステリを書こうという姿勢がある程度見て取れるような…。

ちなみにこの作品の主人公は検事の関根春。
初期の恩田作品のいくつかに渡って登場する「関根家」の長男だ。
はじめてこれを読んだときはまだ十代だったので春と志土の関係にそれほど萌えを感じなかったが(まだ次男の秋が格好良くみえるお年頃だったのねー)、今ならはっきりとこの二人にきゅんとする。働きざかりで優秀な男二人っていいじゃない…!

関根家関連
六番目の小夜子 (新潮文庫) 象と耳鳴り 図書室の海 (新潮文庫)
『象と耳鳴り』のあとがきで言及していた、"関根三きょうだいが登場するミステリ"、まだ待っていてもいいですか?笑
本:恩田陸 | - | tsukigasem
不連続の世界
不連続の世界
不連続の世界
恩田陸

コモリオトコが現れると東京は火の海になる、聴いていると死にたくなる歌声、子どものころに見た"赤い犬"が駆け回る8ミリフィルム、目の前で消える砂丘…怪談めいたエピソードから明らかになる意外な真実。
『月の裏側』の塚崎多聞が再登場…って懐かしいなー!ただし『月の〜』は未読でもまったく問題なし。地方都市(東京含む)を舞台にした、いかにも恩田陸らしい短編集。

作中のある人物が「あなたは常にパッセンジャーだ」と言うように、『月の〜』からずっと主人公である多聞は物語の中で常に当事者ではなく第三者で、いまいち生活感のない主人公というのが話の内容にもマッチしているように思っていたのだけど、本書収録の最後の短編では多聞自身の物語が語られていて新鮮、というか意外な心持ちがした。夜の底を走る夜行の中で交わされる怪談、という非日常感とラストの爽やかさが対照的で好みの一編。大の大人の男同士が仲良くしてるとときめいてしまうのは女子の習性なのであしからず。
本:恩田陸 | - | tsukigasem
ユージニア
ユージニア (角川文庫)
ユージニア (角川文庫)
恩田陸
本:恩田陸 | - | tsukigasem
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