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読んだ本の記録、感想、時々妄想
実は本なんか読まなくても全然平気で生きていけます
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舟を編む

辞書は、言葉の海を渡る舟だ。
ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがるちいさな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう。

玄武書房、辞書編集部。
辞書作りのセンスはあるが人間関係に不器用な馬締光也を中心に、日本語研究に情熱と生涯を捧げる老学者、ベテラン編集者、徐々に辞書に愛着を持ち始めるチャラ男な同僚…彼らは新たな辞書『大渡海』の企画を立ち上げるが、問題は山積み。果たして、海を渡るにふさわしい舟は編み上がるのか。
辞書作りに奮闘する人々と、言葉の力を描いた長編小説。

陸上、文楽、林業ときて今回は辞書編集。
三浦しをんの職業小説シリーズ(?)は、大きなハズレが無いので安心して楽しめるなー。
言葉の力というのは、実は『風が強く吹いている』でもひとつのテーマになっていて、感情と衝動のままに生きていた主人公の走くんが、仲間たちのあいだで思いを言葉にするということを学んで精神的に強くなっていく…というお話でもあったんだけど、今回はその言葉の力をストレートに描いている。

思いを言葉にかえる力。自分のなかの迷いや怒りや恐れを、冷静に分析する目。
(中略)
俺に欠けていたのは、言葉だ。もやもやを、もやもやしたまま放っておくばかりだった。でも、これからはそれじゃあだめだ。藤岡のように、いや、藤岡よりも速くなる。そのためには、走る自分を知らなければ。
それがきっと、清瀬の言う強さだ。
(『風が強く吹いている』)


なにかを生みだすためには、言葉がいる。岸辺はふと、はるか昔に地球上を覆っていたという、生命が誕生するまえの海を想像した。混沌とし、ただ蠢くばかりだった濃厚な液体を。ひとのなかにも、同じような海がある。そこに言葉という落雷があってはじめて、すべては生まれてくる。愛も、心も。言葉によって象られ、昏い海から浮かびあがってくる。
(『舟を編む』)

物語の中心人物となるのは馬締だが、パートごとに視点人物は変わる。
個人的には、西岡パートがお気に入り。一見チャラくて軽薄で、何事もそつなくそれなりにこなせる代わりに何事にも夢中になったことのない西岡が、辞書作りに対して執念ともいえる情熱を持った馬締に対してコンプレックスを抱きつつ、辞書編集部にも馬締にも愛着を抱き始めて、彼なりにさり気なく献身しちゃったりするその様にニヤニヤする…!おじさん同士の暑苦しい絆上等やで岸辺ちゃん!


表紙は、本屋さんで見かけたときから「辞書編集者が主人公の話だから辞書っぽい雰囲気の表紙なのかな?」とは思ってたけど、読み終わってから改めて装丁見直すと感慨深い…。
それとイラストが雲田はるこさんなのはグッジョブ!!と言わざるを得ない。できることなら雑誌掲載時の挿絵をすべて本編内に収録してほしかったー。

本:三浦しをん | - | tsukigasem
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